Tajima's D
$ D統計量は、$ \pi-\theta_Wの値を、理論的に予測される標準偏差で割ったもの
$ D統計量は、集団が大きくなると負の値、集団が小さくなると正の値を示す
最近起こった集団の大きさの変化は、アレル頻度の低い変異に対して強い影響を与える $ \theta_Wは$ \piよりも低アレル頻度の変異から影響を受ける統計量である
$ D統計量は集団の大きさの変化からだけでなく、自然選択からの影響も受ける 由来
2つの変異量の差(Difference)に由来
集団遺伝学の他のDと区別するためにTajima's Dと呼ばれるようになった 理想集団(集団の個体数が一定であり,各個体がランダムに交配している集団)において、突然変異に自然選択がはたらいていない場合(中立)、$ \piと$ \thetaの期待値は等しい 塩基多様度$ \pi: DNA配列間の平均塩基相違数に基づく $ \theta: DNA配列中の多型的な塩基部位数に基づく
この2つの変異量の差がある→自然選択がある
$ D=0: 自然選択がはたらいていない
$ D<0: 有害突然変異を排除しようとする自然選択(純化選択)がはたらいている 理想集団の要件の一つは「個体数が一定」であること(現実では増減する)
$ Dから過去におきた個体数の増減を推測できる
集団の個体数が増加する:$ D<0
集団の個体数が減少する: $ D>0
理想集団のもう1つの要件は「ランダムな交配」(現実には集団構造がある=複数の分集団間の移動が制限されている) $ Dは集団構造の有無を調べるために利用できる